前回は事業再構築補助金の通常枠について、概要、補助対象者及び補助要件について、第4回公募要領をもとに解説しました。今回は補助対象経費の内容や申請手続きの流れ等について解説します。
補助対象経費
補助金の対象になる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。経費の区分には以下のものがあります。
建物費
①事業計画の実施に不可欠な建物の建設・改修に要する経費 ②補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費 ③補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復費 | ✓建物の単なる購入や賃貸は対象外 ✓ ②、 ③の経費のみの事業計画では支援対象外 |
機械装置・システム構築費
①機械装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費 ②ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費 ③①又は②と一体で行う、改良・修繕、据付け、運搬に要する経費 | ✓「借用」とはリース・レンタルのこと ✓補助事業実施期間中に要する経費のみ |
技術導入費
本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
専門家経費
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 | ✓学識経験者等の専門家のコンサルティング業務や旅費等の経費 ✓専門家の謝金単価は以下の通りとします(税抜き) ・大学教授、弁護士、公認会計士等:1日5万円以下 ・准教授、中小企業診断士等:1日4万円以下 ✓認定経営革新等支援機関等に対する経費は、専門家経費の補助対象外 |
クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用に関する経費 | ✓サーバーのレンタル費用、サーバー上のサービスを利用する費用等 ✓見積書、契約書等で確認可能で、補助事業実施期間中に要する経費のみ ✓付帯する経費(ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)も補助対象 |
外注費
新製品等の開発成果の事業化に必要な特許権等の取得に要する手続費用などの経費 | ✓本事業の成果に係る発明等ではないものは対象外 ✓補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は対象外 |
広告宣伝・販売促進費
製品等に係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費 | ✓補助事業以外の製品広告や会社全体の広告経費は対象外 ✓補助事業実施期間内の広告の使用・掲載、展示会開催が必要 |
研修費
本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費 | ✓教育訓練や講座受講等の費用は、事業計画書中に①研修名、②研修実施主体、③研修内容、④研修受講費、⑤研修受講者の記載が必要 ✓入学金、交通費、滞在費等は補助対象外 |
補助対象経費に関する留意事項
この補助金は事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資を促すことを目的です。したがって、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。
例えば、「資産性のない経費」のみを計上する事業や、「1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業」等、特段の事由がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書の提出が必要になります。
主な補助対象外経費
このほかに補助対象外となる主な経費は以下のとおりです。
- 事務所等に 係る 家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
- フランチャイズ加盟料
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く )
- 商品券等の金券
- 商品の原材料費、 文房具等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
- 飲食、娯楽、接待等の費用
- 不動産の購入費、 株式の購入費、 自動車等車両の購入費・修理費・車検費用
- 汎用性があり目的外使用になり得るもの(事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン及びデジタル複合機 、 家具 等)の購入費
その他の留意事項
- 補助対象経費は、事前着手の特例を除き、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります。
- 単価50万円(税抜き)以上の物件等については原則として同一条件による相見積りを取ることが必要です。
- 消費税等は補助対象経費から除外して計算します。
- 過度な経費や価格の妥当性に十分な根拠が示されない経費など、不適当と考えられる経費が見込まれているときは、交付決定の手続きに際して、事務局から補助対象経費の見直しを求められます。
補助金申請の流れ(4次公募)
ここでは第4次公募における補助金申請手続きの流れを解説します。
申請には「GビズID」が必須です。アカウント取得には通常2週間程度かかりますので、早めに準備しましょう。
- 事前準備 電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントの取得
- 公募開始
- 申請受付 4次公募は2021年11月17日から受付開始済み。応募締め切りは12月21日です。
なお、第5次公募は2022年1月中の受付開始予定 - 採択通知 採択・不採択の結果が通知されます。受付締切から1~2ヶ月程度後
- 交付申請 補助対象経費を精査したうえで、交付の申請を行います。
- 交付決定 交付決定日から12ヶ月以内に完了(補助事業期間)※1、完了後30日以内に実績報告※2
- 確定検査 交付額の確定
- 補助金の請求
- 補助金の交付
※1 補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和3年2月15日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とする特例が、第4次公募においても適用されます(第5次は未定)。
※2 本事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間(計6回)、本事業に係る事業化等の状況を事業化状況・知的財産権等報告書により報告する必要があります。
まとめ
今回は事業再構築補助金の補助対象経費の内容や申請手続きの流れについて解説しました。前回及び今回の解説で補助金の全体像がおわかり頂けたのではないでしょうか。
次回は申請書の概要について、ポイントを解説します。
一日一楽
先日ちょっとふれた大阪行きが確定しました。行き先や行程をプランニングする楽しみが増えました!12月はやはり忙しくなりそうです。