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創業者のための契約書実務

私の事務所で導入しているクラウド会計システムのプロバイダーから電子契約サービスの紹介を受けました。ペーパーレス化やハンコ廃止の流れが加速していますが、電子契約サービス以前に、そもそも契約書の実務について概要を理解しておくことはスタートアップ企業が事業を安定的に進めていく上でとても重要なことです。

今回はスタートアップ企業の創業者に向けて、上場企業の法務部での契約実務の経験をもとに、紙をベースとした従来の契約書実務について解説します。

目次

契約書について知っておくべきこと 契約書とは、創業者にとっての契約書

そもそも契約ってなに?

そもそも契約とはいったいどのようなものなのでしょうか?一般的なイメージとしては「契約書」としてハンコを押印した書類を取り交わすといったものかも知れません。

もちろんそのような場合が多いと思いますが、実は一部の場合を除き「契約書」の作成は必須の要素ではありません。民法では、契約は契約の内容を示した申込みとそれに対する相手方の承諾により成立し、契約の成立には法令の特別の定めがある場合を除き、書面の作成等は必要ない、とされているのです。

創業者にとっての契約 契約書が必要な場合とは、契約書の管理

これから事業を新しく立ち上げようとする人にとって「契約」や「契約書」というものは必ずしも馴染み深いものではないかも知れません。確かに、契約書を取り交わさなくても仕事を受注し、売上をあげることは可能です。契約書の作成や管理に時間や労力をかけるくらいなら少しでも早く、大きな仕事を受注できるように製品やサービスの開発に注力したくなるのが創業者にとっては自然かもしれません。

しかし、人材派遣業における個別契約書のように契約書の締結が法律で義務付けられている場合がありますから、そのような場合には契約書の作成、管理は避けて通れません。また、法律的な義務がなくても、例えば継続的に業務をアウトソースするような場合には、業務範囲や納期などについて具体的に定めた業務委託契約書を締結しておく方が、後で「言った言わない」のトラブルを回避するのに役立ちます。

その他にも、事務所や工場を賃借する場合には、建物のオーナーから必ず賃貸借契約書の締結を求められるでしょうし、金融機関から融資を受ける際には金銭消費貸借契約書の締結を求められますから、事業を行う上で契約書の作成や管理は避けて通ることのできない重要な事業活動のひとつといえるでしょう。

そして事業が拡大するにつれ、取引先や従業員の数も増えてきます。それに伴って管理しなければならない契約書の数も増えてきますから、創業時だからこそ契約業務の管理の効率的な仕組みを事前に設計、構築しておくことが必要になります。

契約書実務の流れ 作成、確認・審査、締結

それでは契約書の作成から締結にいたるまでのステップを順を追って具体的にみていきましょう。

作成

まず契約書は通常どちらかが契約書のドラフトを相手方に提示することからスタートします。紙で印刷した契約書を相手方にわたす場合やワード等のデータで相手方に送る場合が多いと思われます。

事業を立ち上げた当初は自社で契約書の雛形を準備するのは大変な労力だと思われますが、毎回相手方から提示される契約書を確認するのは効率的ではありません。自社から契約書を提示できれば内容の確認の手間は軽減できますし、契約書は自社のビジネスモデルを書面で表現するような側面もあります。したがって自社の雛形を準備できれば、今後の事業を成長させていく上で有利になる可能性もあるということを理解しておいてください。

確認・審査

創業者が相手方から契約書を受け取った場合には、そのままハンコを押してしまってはいけません。まずその内容をていねいに確認する必要があります。

取引上の条件についてはすでに口頭か提案書など別の書類等で合意ができているはずですが、契約書に落とし込んだ際に間違った内容になってしまう可能性やはっきりとした合意がなかったような事項について相手方が決めた内容で詳細に記載されている場合もありえます。ですから契約書の内容がじっさいの合意内容と同じであるか確認し、不明な点があれば相手方に問い合わせる必要があるわけです。

会社の規模が大きくなると法務部など契約内容を専門的にチェックする部門が設けられ、彼らが一元的に契約の審査や確認を行う場合もあります。確認の結果、修正が必要な場合にはその旨相手方に連絡し、内容の修正を求めます。場合によっては合意内容の曖昧な部分が浮き彫りにされ、あらためて相手方と交渉し直す、ということもあります。

締結

晴れて契約の内容が固まったら、いよいよ締結の作業に進みます。2社間での契約書を例に締結の作業をみてみましょう。

最終的にお互いに確認が取れたら、まずA社が2部を契約書の形に製本し、押印して相手方B社に送ります。契約書の内容によっては印紙が必要な場合もありますので、まずA社が自社の分の印紙を貼付、消印します。B社は受け取った契約書のうちA社の押印のある契約書に自社の押印(印紙の消印もします)をし、自社の契約として保管します。一方、B社はもう一部の契約書に印紙を貼付し、自社の押印をした上でA社に返送します。最後にA社はB社から送られてきたB社の押印のある契約書に自社の押印をし、しかるべきキャビネットなどに保管して契約書の締結は完了します。

作業の進め方は他にもありえますが、製本、印紙の貼付や押印といった作業はどうしても必要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?従来の紙をベースとした契約書の締結には、内容の確認等相手方とのやり取りが発生すること、書面の作成、製本、押印の手間が発生すること、書面で作成された契約書には印紙の貼付が必要になる場合があること、がわかって頂けたと思います。

これらの契約事務は最初は目立たないかも知れませんが、取引先や従業員の数が増えるにつれ放っておくといつの間にかかなりの事務負担になりかねません。創業時だからこそ将来の事務負担の軽減も見据えた仕組みを検討しておく必要があります。

次回はいま普及が進んでいる電子契約サービスを紹介し、契約書に関わる事務負担の軽減にどのように役立つのか解説します。

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