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太陽光発電設備の保険のはなし②

前回は太陽光発電に関して保険でカバーできる補償の種類と資源エネルギー庁が定めている事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)の保険に関する事項について簡単に解説しました。

今回は懇意にしている保険屋さんと太陽光の保険についてあれこれ話したことについて書いてみたいと思います。

目次

保険の条件設定

火災保険のように物件が被った損害を補償するタイプに加入する際には、保険商品を選択したうえで、保険金額、保険期間、補償内容などを設定していくと、その条件によって保険料が計算されますので、保険の条件設定と保険料を比較しながらどのような条件設定にするかを決めていきます。

保険商品は保険会社ごとに様々なものがありますので、似たような商品があればそれらも並べて上記の比較検討を行います。私がつきあいのある保険代理店は、特定の保険会社にひも付いているわけではないので、各社が提供する保険商品の中から最適な商品を選べる建付けです。

保険金額

保険金額は事故が発生した場合に、保険会社から支払われる保険金の上限額です。保険金額は適当に決めるわけではなく、保険対象の物件を金銭的に評価した価額をもとに設定します。その金銭的評価の方法として、再調達価額または時価が用いられます。再調達価額というのはその物件と同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額で、時価は再調達価額から経年による価値の減少と使用による消耗分を差し引いた金額です。したがって、通常は再調達価額>時価となります。

再調達価額を基準としていれば、物件が完全に損壊してしまっても同等の物件を新築できますから、物件の所有者としては安心ではあります。また、保険商品によっては再調達価額を基本にしている場合もあるようです。一方でその分保険料は高めになりますから、良いことばかりではありません。

住宅の火災保険を考えると、時価をもとに保険金額を設定すると、築年数が古い場合には、もとの建物と同等の建物を再建築するには金額が不足してしまう可能性もあります。中途半端な建物を再建築して生活に不自由しては困りますから、再調達価額をもとに保険金額を設定することを勧められる場合が多いようです。

では、太陽光の場合はどのように考えれば良いのでしょうか。太陽光の場合、再調達価格はパネルやパワーコンディショナー(パワコン)の価格に影響されると考えられます。全体としては価格は下落傾向にありますので、再調達価額も下落傾向といえるでしょう。

参考までに資源エネルギー庁の資料から抜粋した図を掲載します。

それに加えて、FITのもとでの太陽光発電事業は20年の固定買取期間のプロジェクトという特徴があります。発電所の価値を評価する方法として発電所が生み出すキャッシュフローをもとに考えると、売電期間が進み、残りの売電期間が短くなるにつれ、発電所の価値は下落するとも考えられます。

このような太陽光発電事業の特徴を考慮すると、保険金額を単純な再調達価格とするのではなく、経過年数を考慮して設定する方が適切であり、保険料もリーズナブルな水準に落ち着くように思います。

保険期間

保険期間は、1年から、5年、10年あるいはそれ以上と様々あるようです。

太陽光の場合には、物件取得時に業者側が用意した10年間の損害補償がついてくるというような形で付保されている場合も多いようです。みずから建築事業者を選定して発電所を建築するような場合には、保険もみずから選定、付保する必要がありますが、そのような場合には保険期間は最長でも5年程度のようです。

最近は大規模な自然災害が毎年のように発生しており、損害保険の内容が毎年のように改定されているようです。数年前までは用意されていたような保険商品が姿を消してしまうようなことや、保険期間が短縮されるという傾向があるようです。

最適な保険がみつかった場合、長期の保険に加入するほうが単年の保険料負担は少なくなるのが通常ですから、長期の保険期間を選択する方が良いかも知れません。また、近年の保険商品の改定の動きをみると保険料は増加傾向にありますから、長期保険に加入することにより、保険料上昇をヘッジするという意味もあろうかと思います。

一方で、保険料の支払いは加入時に一括で行うことになりますが、長期の保険の場合、支払額も大きくなりがちですから、支払時の資金の手当ても準備しておく必要があります。

補償内容

火災や落雷、風災、雪害などは損害保険の場合補償の内容に含まれていることが多いようです。これらを基本プランとし、補償内容を拡充する形のプランを用意している保険商品もあるようです。たとえば、水害や盗難といったものを加えたプランにするとそれらの被害も補償されるという具合です。

太陽光の場合は、設備が一種の電子機器ですので、いわゆる「電気的または機械的事故」が補償内容に含まれているか、または、含めるか、という点は、保険加入の際に確認しておく方が良いと思います。

保険屋さんにある保険商品をもとに試算してもらったところ、「電気的または機械的事故」を補償内容に含めた場合、保険料が2倍くらいになりました。理想的には 「電気的または機械的事故」 も補償内容に含めるのが望ましいですが、負担する保険料もそれなりになります。保険商品によっては、「電気的または機械的事故」はそもそも保証対象外になっていますので、どのようなリスクを保険に転嫁し、自身で引き受けるのか、専門家等の協力も得ながら保険内容についてよく理解したうえで加入することが必要です。

太陽光の保険事情

太陽光の場合、新しいタイプの事業ですので、保険会社がどのような商品を提供しているのかをゼロから独力で調べるのは大変な労力でしょう。そもそも太陽光発電設備を対象としていない保険商品しか取り扱っていない保険会社もありますので、それを見分ける必要もあります。

FIT(固定価格買取制度)がはじまって10年近く経過していますが、太陽光の保険についての情報はあまり豊富とはいえない印象です。むしろ、近年は太陽光発電の新規建設もいっぷくしており、FIT開始時点よりも太陽光を対象とする保険商品は減少しているようにも感じます。

太陽光発電事業者としては自身も情報収集はしつつも、代理店のような保険の専門家等の協力も得ながら納得のいく保険を選択したいものです。

一日一楽
ふるさと納税で届いた「本ししゃも」をさっそく試してみました。スーパーで売っているししゃもを子供の頃から食べていたせいか、スーパーのししゃもでぜんぜん満足できるという感想です。私の舌は庶民仕様のようです笑

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