今回は地元自治体の創業者支援施策についてちょっと調べてみましたので、結果を共有させていただきます。
関東地方の市町村には似たような制度があるようなので、あなたが住む自治体にも同じような制度があるかも知れません。創業時に限って利用できる制度なので、経営者としては利用できる制度はぜひ賢く活用したいですね。
創業者支援補助金
この補助金は創業にあたって新たに取得した建物や設備にかかる固定資産税や償却資産税の最初の3年分に相当する金額を支援するというものです。具体的な要件をみてみましょう。
補助対象者
補助金の支給対象者は、まず創業サポート窓口(市、商工会議所、市商工会)でのアドバイスや商工会議所が主催する創業塾を受講した人になります。ですから、まずはこれらの窓口に問い合わせてアドバイスを受けることが先決ですね。
それに加えて、以下のすべてに該当する必要があります。
- 市税の滞納がないこと。
- 次の1.か2.のいずれかに該当すること。
- 個人事業者:創業開始日に「市内に居住し、市の住民基本台帳に記録されていること」
- 法人:創業開始日に「市内を本店所在地とした法人登記」が行われていること。
- 市内に事業所を設置し、又は設置しようとしていること。ただし、仮設又は臨時の店舗は対象外。
- 農・林・漁業・金融・保険業以外の業種を営むこと
- 対象とならない事業
- 風俗営業等
- 昼間の営業ができない事業
- 他の者が行っていた事業を継承して行う事業
- フランチャイズ契約又はこれに類する契約に基づく事業
- その他
補助対象経費・補助対象額
次の土地・建物などに対して課された「固定資産税に相当する額を、創業開始の日の次の年度から3年度分交付」します。
- 創業のために取得、賃借した土地や建物
- 自己所有の建物の改装などにより新たに設置した事業所や償却資産
例えば、土地と建物を取得した場合の固定資産税や店舗を改装して償却資産(土地・建物以外の機械や備品などの事業用の資産)を取得した場合には、取得した翌年度から固定資産税や償却資産税がかかります。その最初の3年分を補助金として交付する、という制度になります。
建物の固定資産税や償却資産税は取得当初がもっとも税額が高くなりますから、最初の3年分を補助金として受け取れるのは、建物や設備に多額の投資をする業種にとってはとてもありがたいですね。
手続き
創業開始の日の翌日から起算して30日以内に指定事業者の申請を行う必要があります。
「創業開始の日」をどのように判定するのか明記されていませんが、個人の場合は添付書類として開業届の写しを提出するので、開業届に記載された開業日で判定するのかも知れません。じっさいに利用される方は、市役所等に確認することをおすすめします。
創業時は本業の方が忙しいでしょうから「創業日の翌日から30日以内」というのはけっこうタイトな期限かも知れません。うっかり忘れてしまうと非常にもったいないですから、忘れずに申請しましょう。
空き店舗でお店をはじめませんか
制度の名称は特に無く、上記のようなフレーズで募集している制度なのですが、市内の空き店舗を利用して創業しようとする事業者に対し、店舗の改装費用を50万円まで補助する、という内容です。こちらも適用要件をみていきましょう。
対象店舗
・市中心市街地活性化基本計画区域内、都市計画法に基づく市内の商業地域・近隣商業地域にある空き店舗等で6月以上使用されていないもの
・路面店、概ね3階以下の建物内店舗
・大型商業施設のテナント型店舗ではないもの
・昼間の営業ができるもの
補助対象経費・補助対象額
内外装・設備工事費、開業費を50万まで補助します。
制度の利用状況
令和元年と令和2年のあいだに17件の利用実績があったようです。
内訳は、軽飲食7件、整体・エステ・ジム3件、ショップ6件、オフィス1件 といった感じです。
他の自治体の類似施策
関東近県の市町村にも同様の制度はあるようです。適用要件や内容には幅がありますので、利用される場合には市町村に問い合わせてみることをおすすめします。
- 金額:30万円~80万円程度
- 対象店舗:3ヶ月~6ヶ月程度空室となっている事業用店舗であること
- 補助対象経費:改装費、家賃補助。広告宣伝費を補助するケースも
- その他:2~3年以上事業の継続すること
大家さんにもメリット
このような創業支援と市街地の空き店舗の利用促進を目的とした補助施策は創業者だけでなく、店舗オーナーである大家さんにとってもメリットとなります。
店舗を貸す場合には数カ月分の敷金を預かる場合が多いですから、創業者には店舗の改装費にこの補助金を利用してもらえば、敷金を支払う余力が生まれ入居の可能性も高くなるはずです。家賃を直接補助してくれる場合にはなおさらですよね。
入居を決めかねている創業者に対して大家さんの方からこのような補助金を紹介してあげられれば、win-winになりますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は市町村レベルの創業者支援施策についてご紹介、解説しました。
創業者支援補助金は固定資産税等に相当する金額を交付する制度、空き店舗利用促進は空き店舗での創業にかかる改装費等を補助する制度でした。金額は控えめですが出費の多い創業時にはありがたい支援であるはずです。
身近な地元の制度にも案外つかえるものがあったりします。経営者としては身近なところにも目を向けてかしこく事業運営をしたいものですね。
一日一楽
今日は地域の会計士会の研修に参加して、独立して2、3年の会計士の方々のお話しを聞きました。皆さんIPO支援、事業計画作成、公会計、中小企業M&Aアドバイザリなどをメイン業務にされていて、税務顧問業務はわずかという方々でした。
独立前のキャリアや人脈を独立後のメイン業務にうまくつなげているのが印象的だったのと、何よりも会計士業務の幅広さにあらためて気付かされました。個人でできることは限られますが、会計士業務全体としての幅広さは忘れずにいたいと思った研修でした。