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テレビドラマ「女系家族」①

楽しみにしていたテレビドラマ「女系家族」。ドラマを最後まで観きれないクセのある私でしたが無事に最後まで観おわりました。今回はその感想です。ネタバレを含みますので、その点ご承知おきください。

目次

概要

設定

矢島商店という木綿問屋を舞台にした三姉妹と遺産を残して亡くなった当主の愛人の遺産争いがテーマです。原作は山﨑豊子で1963年の出版です。ドラマでは時代設定は現代にアレンジされています。

キャスト

浜田文乃(宮沢りえ)
矢島商店の当主矢島嘉蔵の愛人。温泉に芸者として出ていた宴席で嘉蔵と知り合います。後に嘉蔵の子どもを妊娠していることが発覚します。長女と同年齢という設定です。

三姉妹
長女:矢島藤代(寺島しのぶ)
矢島家は代々惣領娘が婿を取り家業を継承していくという女系家族で、藤代にはその惣領娘としての自負が強く出ています。嘉蔵を田舎者とうとんじ、啖呵を切って家を出て嫁いだのですが今は出戻ってきています。しかし、惣領娘としてのプライドは揺らぐことはありません。

次女:千寿(水川あさみ)
子供の頃から長女の陰に隠れるような扱いにコンプレックスを抱いています。しかし、矢島商店の重役を務める良吉を婿にとっており、長女にもときには張り合う姿勢を見せます。

三女:雛子(山本美月)
長女と次女ほどには矢島家における自分の立場に汲々としていません。しかし、母親の妹である叔母の芳子の後見を受ける形で、徐々に遺産争いに巻き込まれていきます。

矢島芳子(渡辺えり)
雛子の後見人的な立場で相続争いに加わります。女系家族である矢島家出身であり、愛人を作っていた嘉蔵を「婿養子のくせに」と見下しています。

矢島嘉蔵(役所広司)
矢島商店の当主。矢島家には婿養子として入り、まじめに家業に励んだ結果、50億円にものぼる大きな財産を築きます。遺産の処置を細かく定めた遺言を残して他界します。

大野宇市(奥田瑛二)
矢島商店の番頭。当主の信任も厚く、遺言執行人を任されます。矢島商店の実務も取り仕切っていますが、隠れて仕入先からリベートをもらったり、矢島家の資産である山林の木材を密かに横流ししたりという不正も働いています。

矢島良吉(長谷川朝晴)
千寿の夫。実直な性格で、矢島商店の重役を務めています。

梅村芳三郎(伊藤英明)
日本舞踊の師匠であり、藤代と良い仲になっています。

みどころ① 俳優陣

ドラマの見どころのひとつは三姉妹と文乃のキャスティングですが、文乃と藤代の年齢設定は37歳ということで、女優さんの実年齢より10歳くらい低くなっています。テーマがテーマだけに、多少上の年齢の方が重厚な仕上がりになるという計算が働いているのかも知れません。木綿問屋が舞台ということもあり、女優陣は和服姿で登場していて、場面ごとに何度も「お色直し」するので、そういう着こなしも楽しめます。

宮沢りえは48歳ということで、団塊ジュニア世代なんですね。初代三井のリハウスのCMやポカリスエットのCMをリアルタイムで観ていた世代としては感慨深いものがあります。

三姉妹の中では水川あさみに注目しています。三姉妹といえば、大河ドラマ「江」でも次女役で出ていましたから、次女役はハマり役なのかも知れませんね。

くせ者的な芳子や大野宇市を演じる渡辺えり、奥田瑛二の演技もみものです。渡辺えりは、世間をよく知っていて抜け目のない人物にはぴったりハマる女優さんですね。

みどころ② 遺産争い

遺産争いがメインのテーマですので、遺産にまつわるディテールが面白いです。

遺産は三姉妹に対して、長女には不動産、次女には矢島商店の事業、三女には株式や書画骨董類がそれぞれ割り当てられるのですが、長女も三女もその実際の価値を専門家に評価してもらいつつ、他の姉妹の資産の評価が如何ほどのものか値踏みし、牽制しあいます。これらの財産のほかに三姉妹には共同の相続財産として山林などが残されており、この扱いは協議して決めるように遺言されています。

長女の藤代が山林を検分に行くあたりの描写はスケールが大きくてストーリーに奥行きを与えています。やがて次女、三女も共同財産の中では山林が欲しい、と言い出していて、山林には人をひきつける妖しい魅力があるのでしょうか。

第一話では、三姉妹それぞれに割り当てられた資産額はだいたい10億円ずつ程度で、それなら円満にまとまるようにも思われたのですが、長女が嫁入りの際に受けた贈与や所在不明となった時価2,000万円の掛け軸などをめぐって容易にはまとまらない気配です。

このドラマのように遺産総額は約50億円の規模で、不動産が多くの割合を占めるケースでしたら、おそらく実務的には数千万円の違いで争うよりは、まずは納税資金の目処をつけておくことの方がはるかに重要だと思います。このケースでは負債は大して無さそうなので、10億円以上の納税が発生するかもしれません。

相続財産に多額の不動産がある場合には、売却するなり納税資金の融資を受けるなり、何らか対策を急がなければなりません。特に不動産は一般的に流動性が低い(現金に換えるのが容易ではない)といわれ、売り急ぐような場合には、時価よりも低い価格でしか売却できない事態も考えられます。

また、矢島家は老舗の商家ですから、そもそも不動産を手放すのには抵抗があるかも知れず(長女は特に)、そうなると納税資金を金融機関から借りて資金手当をするというのが現実的な対応のように思われます。

ドラマの中では納税資金については誰も心配しておらず、他の姉妹や愛人の文乃側にどの程度の財産が渡るのか、に一喜一憂しています。原作には税理士が関与していることをうかがわせるくだりがあったと記憶していますが、ドラマでは遺言執行人の宇市が相続手続きの事務を取り仕切っています。彼自身は遺産相続を受ける立場ではないのですが、三姉妹や文乃の間をうまく立ち回って、なんとか自分の「取り分」を増やそうと暗躍します。

第二話では遺産争いが佳境に入りますが、最後にどんでん返しが待っています。第二話のコメントは次回に続きます。

一日一楽
ドラマは大阪の船場という地域が舞台なのであちらの言葉が飛び交います。言葉の響きも楽しめたドラマでした。

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