しばらく前に「保険加入努力義務に備えましょう!」という太陽光発電設備にかかる保険加入の勧誘のハガキが届きました。発電所の買取りや草刈りなどのメンテナンスのチラシは毎月のように届きますが、保険のチラシはあまり来ないので、ちょっと気になって保存しておきました。
ハガキには「資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)に火災保険・地震保険等への加入努力義務が明示されました」とあります。
今日はたまたま付き合いのある保険屋さんと話す機会があったので、そのハガキについても聞いてみようと思って出かけてきました。そういうわけで、今回は太陽光発電の保険について、触れたいと思います。
太陽光発電に必要な補償
そもそも、太陽光発電事業を営む事業者は発電所についてどのようなリスクを想定し、保険で手当てをしておくべきなのでょうか?上記のガイドラインはひとまず置いて、一般的な感覚で考えてみたいと思います。
火災保険
まず思い浮かぶのは火災保険です。太陽光発電ですから、落雷による火災や損傷などが思い浮かびます。また、台風や竜巻によってパネルが吹き飛ばされるような事故も耳にしますね。それから、雪の降る地域では降雪によりパネルが押しつぶされる被害もきいたことがあります。ひょうが降ればパネルを割る可能性もありますね。
ちょっと思い浮かべただけでも色々な自然災害のリスクがあるものですね。これらは日本全国多かれ少なかれ発生する可能性がある自然災害だと思います。
これら以外には、山の斜面に設置したような発電所であれば、土砂災害はもっとも警戒すべき自然災害かもしれません。また付近に河川や水路が通っている場合には、洪水等による水害も想定しておく必要もあるでしょう。
火災保険の範囲なのか微妙ですが、ケーブルの盗難被害もたまに耳にします。ケーブルに使用されている銅線を盗まれるもので、資源価格が高い水準になると発生するようです。コロナ禍で資源価格が高騰していますから、発電所のオーナーはしばらく気が抜けません。
賠償責任
太陽光発電設備に起因して第三者に損害を与えてしまうような場合も考えられます。
たとえば、台風などによりパネルが吹き飛ばされ、そのパネルが人や民家や自動車などにぶつかって損害を与えてしまう可能性が考えられます。
休業損害補償
発電所が災害等により発電を停止してから修繕等により発電を再開するまでの休業損失が考えられます。
発電状況をリアルタイムで監視していて、即座に修繕等の対応がとれれば休業の期間は最小限に抑えられますが、何らかの理由で発電所の異常の把握が遅れると、1、2ヶ月分くらいの売電収入をみすみす失ってしまう恐れもあります。
事業計画策定ガイドライン(太陽光発電) がもとめる保険
では、 事業計画策定ガイドライン(太陽光発電) (以下、ガイドライン)によると事業者はどのような保険に加入する必要があると言っているのでしょうか。
ガイドライン第5節撤去及び処分(リサイクル、リユース、廃棄)
1.計画的な廃棄等費用の確保
②「出力 10kW 以上の太陽光発電設備の場合、災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備え、火災保険や地震保険等に加入するように努めること。」
これを読む限り、加入する努力をすべき保険というのは火災保険や地震保険を主に想定しているようです。
それに続く【解説】では以下のようにも言っています。
「なお、支払われる保険金の額については、想定される廃棄等費用の額も念頭に置きつつ、災害等による廃棄処理や修繕を行うために必要十分な額となるようにする必要がある。また、今後、保険料の水準を含めた努力義務化の影響を見極めながら、遵守義務化の検討を進めることとされている点に留意が必要である。」
なお、ガイドラインのp.24では「高圧・特別高圧の大規模な太陽光発電設備では損害保険や賠償保険への加入率が高いのに対し、低圧の太陽光発電設備においては加入率が低いことが報告されている。」との記載があり、少し意外でした。低圧の発電所の場合、土地と発電所をパッケージ化して販売されているものが多く、当初の販売価格に何年分かの火災保険が付帯されているのが通常だとばかり思っていましたので。
とにかく、資源エネルギー庁としては低圧の発電所の保険加入率が低いという認識なので、保険の加入努力義務を課した、ということなのでしょう。
保険のチラシの内容
では、我が家に到来した保険のチラシはどういう保険の案内だったのでしょうか。
取扱代理店のHPによると太陽光発電設備の廃棄費用と賠償責任保険をセットにしたもののようです。火災保険はこのチラシの保険には含まれていないようです。ガイドラインによれば、「火災保険や地震保険等に加入」するよう努めること、が求められていますから、廃棄費用と賠償責任保険をセットにした保険も「等」に含まれるという考え方なのでしょうか?
廃棄費用に関しては、売電収入から廃棄等費用を源泉徴収的に差し引き、外部機関に積み立てることを義務付ける新たな制度が適用される予定になっており、最近注目を浴びていますね。また、賠償責任保険についてはガイドラインでもその活用について言及がありますので、それらを意識した保険内容ということなのかも知れません。
まとめ
今回は太陽光発電に必要な補償の内容について、事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)の求める保険加入努力義務に触れながら解説しました。
太陽光発電事業は最低でも20年に及ぶ長期の事業です。近年は自然災害も頻発していますので、災害も起こり得ることとして捉え、保険を賢く利用してリスクに備えたいものですね。
次回は保険金額の設定などについて保険屋さんと話したことについて書いてみたいと思います。
一日一楽
ふるさと納税の返礼品が続々と届いています。普段は買わなそうなものでもふるさと納税ならハードルが下がるので、気になるものをお試し感覚で注文しています。今日は「本ししゃも」が届きました。今まで食べていたししゃもはニセモノだったんですね😂