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小規模企業共済について

前回は経営セーフティ共済について解説しました。経営セーフティ共済を運営している中小機構はもうひとつ小規模企業共済という制度も運営しています。こちらも経営セーフティ共済とならんで中小企業の事業者にはなじみがある制度だと思いますので、今回は小規模企業共済について解説します。

目次

概要

小規模企業共済は中小機構が運営する小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。この制度には以下のような特徴があります。

  1. 掛金は全額が所得控除可能
  2. 共済金や解約手当金が受け取れる・一括受取and/or分割受取の選択が可能
  3. 貸付制度が利用できる

掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。また、1年以内の前納掛金も同様に控除できます。このような控除は「所得控除」とよばれます。所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味するもので、基礎控除、医療費控除、社会保険料控除や生命保険料控除なども所得控除の一種で、ご存じの方も多いでしょう。

経営セーフティ共済は事業所得の経費として計上が認められましたが、 小規模企業共済等掛金控除は事業所得やその他の各種所得を合計した金額から他の所得控除とともに控除され、その残額が税金計算の基礎となります。したがって、経営セーフティ共済と小規模企業共済では、控除される段階が異なるわけです。

掛金額は1000円から7万円の範囲で設定可能で、納付方法は月払い、半年払い、年払いを選択できます。

加入者が個人事業を廃業したり、会社の役員を退職したときに共済金を受け取ることができます。共済金は掛金の納付月数および共済事由(共済契約者の立場や共済金を請求事由)によって金額が決まります。運用収入等に応じて付加共済金が加算される場合もあります。

共済金の受け取り方は、一括、分割、一括と分割の併用、が可能です。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなります。

退職所得は所得計算の段階で勤続年数に応じた控除をした金額に1/2を掛けて計算するため、税額が抑えられるという優遇措置があります。

貸付金の制度が充実しているのも小規模企業共済の特徴です。事業資金を借入れできる一般貸付の他に「緊急経営安定貸付け」(資金繰りが困難なときに、経営の安定をはかる)や「傷病災害時貸付け」(入院や災害等により被害を受けた際に、経営の安定化をはかる)などの具体的な状況に応じた貸付金制度が用意されています。

貸付金は掛金の7~9割の範囲内で、貸付金ごとに上限金額(一般貸付は2000万円、それ以外は1000万円)が設定されています。金利は貸付金により異なりますが、2021年12月現在0.9%~1.5%となっていますので、貸付金の制度を利用するのに大きなハードルにはならないでしょう。

小規模企業共済の使い方

小規模企業共済の特徴は、納付時の所得控除、受取時の税制優遇、貸付金制度という点にあります。これらについてもう少し詳しくみていきましょう。

所得控除と受取時の税制優遇

小規模企業共済の掛金は所得控除されるため、毎年の所得税を減らす効果があるといえます。そして、事業の廃止や役員を退職したときに受け取る共済金は退職所得として扱われますので、掛け金の納付から共済金の受取までをトータルで考えると節税の効果があるといえるでしょう。

一方、事業の廃止や役員の退職などと無関係に任意解約する場合に受け取る解約手当金は「一時所得」として扱われ、退職所得のような税制優遇はありません。当然といえば当然ですが、「個人事業主などのための退職金」という制度本来の目的に沿った使い方をする場合に税制優遇が認められるわけです。

一時的に資金が必要な場合には、任意解約ではなく前述の貸付金制度を利用して対応し、共済金を受け取り退職所得の適用を受ける余地を残すのが賢い使い方といえるでしょう。加入期間が20年未満で任意解約をすると解約手当金が掛金合計額を下回ってしまいますので、加入する場合には長期的な展望も含めて加入する目的を整理しておく必要があります。

貸付金制度

一般貸付であれば掛金の7~9割の範囲内で、2000万円までの借入が可能です。借入期間は505万円以上の借入であれば選択により最長60ヶ月までとすることができますので、ある程度の期間資金を利用することが可能です。経営セーフティ共済の一時貸付金の返済期間は1年間ですから、使い勝手は良さそうです。

掛金総額が2000万円になるまではその7~9割の金額は貸付の利用が可能ですので、金利負担はありますが、完全に「資金が寝る」ことは避けることができそうです。逆に掛金を2000万円を超えて支払う場合には、超過部分については貸付制度による借入を受けることはできませんので、「資金が寝る」可能性を覚悟する必要があります。

掛金2000万円というのは7万円という毎月の掛金上限金額を20年以上納付し続けて到達する金額ですので、加入時点ではあまり考えなくても良いかも知れませんが、掛け金額が貸付金額の上限に近づいているような場合には、上記のようなことも意識してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は小規模企業共済について解説しました。経営セーフティ共済と並んで中小企業の経営者であればある程度おなじみの制度です。中小企業の経営者のための退職金制度であり、一定の税制優遇があります。また、掛け金額に応じた貸付金制度も用意されています。「節税」策として紹介されることもありますが、退職金制度というのが制度本来の目的ですので、その点を理解した上で賢く利用していただきたいと思います。

一日一楽
今日は人間ドックを受診してきました。午前中で終わったのですが、夕方になってもまだダメージが残っています💦胃カメラを鼻から入れたり、腹部に超音波をあてたりと、まぁあまり気持ちの良いものではありませんね。でも、これで年内の大仕事のひとつが終わりました!検査も終わってお腹が空いたので夕食が楽しみです!!

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